名もない小児科医のつぶやき

名もない小児科医がひとり言をつぶやきます。

胃腸炎になったよ💦 病院にいく3つのポイント!

前回に引き続き今回も胃腸炎についてです。

腸炎を分かりやすく言いますと

嘔吐と下痢がダブルできたということです。

上からも下からも水分が出て行ってしまうということです。

 

むかむかして吐いてしまう、

飲食したら水下痢だ、

という感じです。

 

軽症の場合は、自宅でポカリスエットOS-1

対応しても問題ないのですが、

症状がひどいとそうはいきません💦

 

腸炎症状がひどいと

入院の必要が出てくるのです!

 

では、どのタイミングで

病院を受診した方がいいのでしょうか?

以下の3つのポイントでお話します。

 

前回とまるかぶりですが...

しつこくお話します。

 

1. 嘔吐や下痢の回数が多い時

2. 尿が少ない、または尿が出ない時

3. 熱がでてぐったりした時

この3ついずれか1つでもあれば

病院受診をお勧めします。

 

細かくみていきましょう。

1つ目ですが、

嘔吐や下痢の回数が多ければ多いほど

脱水になりやすい事は

なんとなく想像できると思います。

 

では何回吐くと脱水になるの?

吐くけど飲めているということは

飲めていると一緒?

水様便は脱水になるの?

色んな疑問が生じる事でしょう。

 

外来診察で遭遇するお子さんで

嘔吐が5~6回程度ある場合は

脱水の程度が中等度の事が多いです。

10回以上吐くと脱水がひどく

入院のお話まで出ます。

下痢だけの場合ですが、

回数が10~15回以上あれば

下痢だけでも脱水の状態になっていることがあります。

 

また、飲めるんだけど吐いてしまいます

しかし、しばらくすると飲めるんです。

という場合は多いと思いますが、

水分摂取しても吐くということは

飲んだものも吐くけれど、

体の水分も一緒に出ていく事と同じです。

嘔吐があれば水分摂取は

してかまいませんが、

飲ませても吐くようなら

その先は脱水しかありません。

 

よって、病院受診まえに

嘔吐の回数が5~6回あれば、

病院受診を進めます。

10回以上なら入院を覚悟した方がいいでしょう。

水分摂取が少ないにも関わらず

下痢の回数が10回以上なら

それもまた脱水を起こしやすくなります。

 

2つ目です。尿についてです。

嘔吐した場合、尿が濃くなったり

少なくなったりすることは

経験済みだと思います。

朝おしっこしたきり

夕方までおしっこがない💦

ということは、

体の水分が足りなくなっている

というサインに他なりません。

いつもこの時間におむつを替えているのに

またおむつが乾いている。

起きてからおしっこしていない、

という場合は、脱水状態と考えて構いません。

尿が少ない、またはない場合も

病院受診をためらってはいけません。

 

最後の3つ目は、熱が出た場合です。

熱が出た場合は、胃腸炎の症状が

強くなりやすい傾向です。

嘔吐下痢でだるい状態なのに

さらに熱まで出て

より一層元気がなくなってしまうことが

予想されます。

胃のむかむかで水分摂取ができないのに

熱が出てしまって、水分を取ろうにも

飲む元気がなくなってしまうのです。

熱が出て元気がない場合は、

例え嘔吐の回数が少なくても

脱水状態か手前の事があり

病院受診をお勧めします。

 

脱水の場合に重要となってくるのは水分補給です。

体に水分を入れる事ですが、

それと同じくらい重要なことに

ミネラル分と糖分も

一緒に補う必要があります。

 

 

嘔吐がひどく、飲食できない時に

体のミネラル成分がくるって

または血糖値がさがって

ぐったりしたり

時にけいれんしたりと

厄介な症状が出現することがあります。

 

そうならない前に点滴する必要があります。

点滴は水分補給、ミネラル補給

糖分補給に非常に優れています。

 

よって、水分、ミネラル、糖分を補給するには

病院受診し点滴してもらう方がかえって

治りが早いのです。

 

軽い脱水なら点滴の必要はありません。

しかし、上の1~3の場合は、

点滴してもらった方が

後々の事を考えるとよいのではないかと思います。

 

点滴しても胃腸炎は治りません。これは事実です。

体は、嘔吐や下痢することによって

体に入った病原体を出そうとしているわけです。

しかし、脱水になれば

病原体をやっつけようとする

活力がなくなり胃腸炎

治りが遅くなってしまうのも事実です。

 

点滴は胃腸炎を治す治療ではなく、

あくまでも、胃腸炎を治すための

補助の役目であると思った方がいいかと思います。

 

しかし、脱水がひどいと

補助の役目がとても重要となってきます。

体から逃げた水分を、点滴で補えることで

病原体に侵された体が少し癒されるのです。

 

いかがでしたか?

少々長い文ではありましたが、

腸炎の際に病院へ受診する

タイミングがなんとなく

つかめたでしょうか?

 

なぜ病院へ受診するか??

それは、脱水状態を救うためです。

そのためには点滴することが

必要となってくるのです。

 

ここで注意すべき点があります。

小児科医が診れば、

「あっ、点滴しよう!」

と思うお子さんも

救急受診した場合で

点滴せず帰宅!となってしまう場合があります。

ちょっとした入れ知恵ですが、

救急を受診した場合は

少し症状を盛ることをお勧めします。

より重症にお話するのです。

これは内緒ですよ!!

 

長くなりましたが、

「点滴する」という、子どもにとっては

恐怖でしかない医療行為が、

子どもの体力を回復させる

助けとなれば、小児科医として

これほど安心できる治療法はありません。

 

腸炎になったお子さんが、

その子を看病するご家族が

一日でも早く心やすまることができるよう

小児科一同、切に願っております。

どうか胃腸炎が早くよくなりますように!!